BUILT WITH Qt
Oncosoft
高解像度3D医用イメージングの提供
リアルタイムかつ高効率な3D医療画像処理
2倍
UI実装速度を実現
20%
UI関連のバグを削減
25%
カスタマイズ機能の開発・提供を高速化
韓国の医療AIスタートアップ Oncosoft は、放射線腫瘍学向けのAI画像解析ソフトウェアを専門としています。
同社は自社製品 OncoStudio 2.0 において Qtフレームワークを採用し、さらにAxivion、Squish、Cocoを活用することで、品質保証とテストカバレッジの強化を実現しています。
これにより、Oncosoftは高解像度3D医療画像のリアルタイム可視化を可能にし、開発生産性を大幅に向上させると同時に、UIに関連するバグの最小化を達成しています。
Qtは単なるUIツールではなく、OncoStudioの技術的な中核として機能し、その将来の進化を支える基盤となっています。
Seonggong Moon 氏, 製品開発担当
Qt ソリューションハイライト
高解像度3D医療画像のリアルタイム処理
安定したシステム稼働を支えるマルチスレッド対応
画面比率やレイアウト変更に柔軟に対応するレスポンシブUI設計
Windows、macOS、Linuxに対応したクロスプラットフォームサポート
病院ごとのニーズに合わせた高いカスタマイズ性
パフォーマンスの限界を克服するために
Oncosoftは、放射線腫瘍学向けのAI画像解析ソフトウェアを専門とする韓国の医療AIスタートアップです。同社が開発したOncoStudioは、がん患者のケアに関わる多職種チームを支援するためのがん情報統合システム(OIS)です。
OncoStudio 2.0 の開発にあたり、同社チームは初期バージョンで明らかになった課題の克服に取り組む必要がありました。
特に、高解像度の3D医用画像のリアルタイム制御と処理に関するパフォーマンスの制限が、初期バージョンの大きな課題となっていたのです。
私たちにとって最大の課題は、直感的なユーザーインターフェースを維持しながら、複雑な医用画像のリアルタイム処理を実現することでした。
Seonggong Moon氏
Oncosoftは、課題解決に向けて広範なリサーチを実施しましたが、多くの代替ソリューションは自社の要件を満たしていないことが判明しました。あるツールはUIコンポーネントやイベント処理方式が古く、開発が煩雑になりがちでした。また別の選択肢は、高解像度画像処理やパイプライン統合に関するリソースやコミュニティの知見が不足しており、実用面での不安が残りました。さらに、ローカル市場でのサポートが限定的であることも大きな課題でした。
Oncosoftが求めていたのは、高速なレンダリング、複数のユーザー操作への対応、柔軟なUIカスタマイズが可能な、より堅牢なソリューションだったのです。
最終的に私たちは、Qtで構築されたSlicer 3Dコミュニティに出会いました。その成熟度、技術的な信頼性、そしてスケーラビリティに強く惹かれ、OncoStudio 2.0はQtとC++で開発すべきだと確信しました。Seonggong Moon氏
Qtは最適な選択でした。モジュール構造により、大規模なカスタマイズを行うことなく複雑なUI要件に対応でき、お客様の満足度向上にもつながりました。
Seonggong Moon氏, 製品開発担当
パフォーマンス向上を実現するためのQtへの移行
OncoStudio 2.0の開発には、最終的にQtが採用されました。シンプルなUIを構築しつつ、高解像度の3D医用画像をインタラクティブに可視化・レンダリングできる能力は、本プロジェクトの成功において極めて重要でした。
OncoStudio 2.0は、CMakeベースのC++/Qtアプリケーションとして開発されており、VTK、ITK、DCMTKといった主要なオープンソースライブラリとの統合が図られています。Qtは、リソース管理、多言語対応、シグナルスロットによるイベント処理、マルチスレッドにおける安定性確保など、Oncosoftの開発環境において中核的な役割を担っており、信頼性とスケーラビリティの両立に大きく貢献しています。
私たちのようなスタートアップにとっては、初期コストよりも、長期的なスケーラビリティと保守性の方が重要です。その点で、Qtは最適な選択でした。モジュール構造により、大規模なカスタマイズを行うことなく複雑なUI要件に対応でき、お客様の満足度向上にもつながりました。
Seonggong Moon氏
Qtの導入により、Oncosoftは顧客ごとの要件に応じたカスタマイズをより効率的に実現できるようになりました。病院ごとに医用画像のニーズは異なるため、この柔軟性は非常に重要です。
Qt導入以前は、グラフや表による構造化データの可視化、カスタムフォーマット、テーマのカスタマイズ、印刷機能などを、外部ライブラリや独自開発によって対応していました。しかしQtを用いることで、これらの機能を統合的に扱うことが可能となり、カスタマイズ作業も格段に迅速化されました。
Qtを導入してから、開発者間のコラボレーションも改善されました。Qtは一貫したアーキテクチャと明確なコーディングスタイルを備えており、新しい開発メンバーの立ち上げがスムーズになるだけでなく、モジュール間の依存関係の管理も容易になります。
Seonggong Moon氏
Qtは、リソース管理、多言語対応、シグナルスロットベースのイベント処理、マルチスレッドにおける安定性といった面で中心的な役割を果たしており、開発環境の信頼性とスケーラビリティを確保しています。
Seonggong Moon氏, 製品開発担当
生産性を2倍に、業界水準をリードする品質保証を実現
Qtの導入以降、Oncosoftは技術面・業務面の両方で大きな改善を実感しています。
- 開発効率の向上 - Qt導入前は、UIの新機能を実装するのに数週間を要していましたが、現在では1週間以内にプロトタイプが完成。生産性は100%以上向上し、市場投入までの期間も大幅に短縮されています。
- バグの削減 - UIに関連するバグは約20%減少し、より安定性と信頼性の高いソフトウェアが実現されています。
- カスタマイズ対応の高速化 - カスタム機能の提供スピードが25%向上し、多様な病院や研究機関のニーズにもより柔軟かつ迅速に対応できるようになりました。
Qtの導入は、優秀な開発人材の採用にも好影響をもたらし、Oncosoftの開発体制全体の強化につながっています。
今後、OncosoftはOncoStudioを、治療計画・解析・レポート作成を含む放射線治療の統合プラットフォームへと発展させていく計画です。現在は、外部の治療計画システム(TPS)との連携や、放射性医薬品治療のワークフローへの対応も積極的に進めています。
また、Axivion、Squish、Cocoといったツール群を活用し、品質保証とテストカバレッジの向上にも継続的に取り組んでいます。
Qtのライセンス費用は一見高く感じられるかもしれませんが、
長期的な安定性・保守性・エコシステムによるサポートといったメリットは、そのコストを遥かに上回ります。Qtは単なるUIツールではなく、OncoStudioの技術的な基盤として機能し、その将来的な進化を支える存在です。
Seonggong Moon氏
Oncosoft について
Oncosoft は、韓国・ソウルに拠点を置く先進的な医療テクノロジー企業です。
2019年に設立され、放射線腫瘍学向けの高度なソフトウェアソリューションの開発を専門としています。Oncosoftは、がん治療における効率性と正確性を高めることで、放射線治療医のワークフローを合理化することを目指しています。
同社の主力製品である OncoStudio は、治療部位の検出や臓器の輪郭抽出といった重要な作業を自動化し、医師が患者ケアにより集中できるよう支援します。OncoStudioは、DICOMやHL7 FHIRといった国際標準に準拠し、市販されているあらゆるハードウェア・ソフトウェアとの高い互換性を持つよう設計されています。
Oncosoftはイノベーションと品質の向上に対して強いコミットメントを持ち、臨床の専門家やユーザーからのフィードバックに基づいた継続的な製品改善を行っています。顧客満足を重視し、各医療機関のニーズに合わせたカスタマイズ対応にも力を入れています。こうした放射線治療の発展への継続的な貢献が評価され、3年連続でK-BioHealth Awardを受賞するなど、高い評価を獲得しています。